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裁定制度問題について、海賊版濫用の例としてヴァンプリを語ります

 いつも時代の先を行っていた……  こちらのブログで知ったのですがeigoMANGAという企業に対してヴァンガードプリンセスというゲームの使用許可が下りたらしいですね。 https://ironnakotowo.blogspot.com/2025/04/steam41-eigomanga.html  このゲームを知っている人は知っていると思いますが、eigoMANGAとはヴァンガードプリンセスの海賊版を販売している会社です。 https://www.gamespark.jp/article/2024/07/28/143626.html  つまり、文化庁が海賊版業者に事後承諾を与えてしまったことになるんですけど……。  実はヴァンガードプリンセスはeigoMANGA社の前にShowMeHoldings社に許可が出されています。実績のある作品については要件が緩和されるんです。だから許可が出るのは既定路線だった……。  なるほどその手があったか。憎たらしいな。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/pdf/kanwa.pdf  ネットでは無断転載禁止と書いておけば裁定制度の対象外になるという楽観的な意見が主流になってますけど本当にそうでしょうか。  それでは文化庁の許可担当者はどうやって無断転載禁止の意思表示があることを確認するのでしょうか。 ・公式ブログには無断転載禁止とは書かれていません。(そもそもそういうブログって存在しますか……?) http://suge9.blog58.fc2.com/ ・ゲーム本体の説明書『はじめによんでください』には無断転載を禁じますと書かれています。  思うのですが、出された申請は全て右から左に許可を出しているのではないでしょうか。しかし無断転載禁止の意思表示はありますよね……。ちょっと調べたらわかるのにということはやっていないようです。  ということで実際の運用は、  最低でも、無断転載禁止、無断使用禁止、そのたぐいのことはホームページやSNSアカウントのトップなどのとにかく見えやすいところに書く必要あり。  最悪の場合は、文化庁は全く調査をやっていないので書いていても許可が出る。  その場合、文化庁の裁定実績データベース...

裁定制度の供託金の安さ……について

 さて商習慣に基づいていると言われている供託金ですが一体何に基づくのでしょうか?  推測ですが印税10%と言うやつなのでないかと思います。  書籍の出版契約→1:9  ゲームのパブリッシュ契約はもう少し違うみたいです。  ゲームのパブリッシュ契約→5:5から https://www.famitsu.com/news/202008/06203603.html  といいつつ供託金は0.4:9.6で計算されているんですけどね……。 著作権者不明等の場合の裁定補償金額シミュレーションシステム https://www.bunka.go.jp/saiteisimulation/  商習慣に基づく使用料を求める場合はこれも権利者が文化庁に異議申立てしなければなりませんよ、と知っておいたほうがいいです。  この裁定制度は許可を簡単に出すことが目的の制度なので、供託金が低いことも許可後の改変が自由にできることも機能しているケースもあります。 裁定実績を見ると問題集の出版社が大学の過去問を再録するために使っているようですね。 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/chosakukensha_fumei/saitei_data_base.html (大学に直接許可は取れなかったのか……?)  ただし、なんでもゲームでも同様に許可を出すことは問題があるのではないかと個人的には思います。  しかし、その判断は文化庁にしかできないし、とにかく裁定制度は簡単に許可を出すことが目的の制度ですから、作品を公開するかしないかコントロールしたい権利者は注視して権利を主張する必要があります、というのは頭の片隅に置いておくほうがいいと思います。 TumblrからBloggerにも書きました。 https://www.tumblr.com/s-a-i-t-e-i-s-e-i-d-o-o/781029464301764608/